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一鉢の石楠花(しゃくなげ) |
Kさんは、花屋にあった石楠花の鉢植えに目を留めました。
さっそく買い求め、自分の庭で育てることにしました。すでに数個の固い蕾【つぼみ】をつけていたので、Kさんは開花を心待ちにし、せっせと水やりもしました。
ところが、購入してから2ヵ月が過ぎ3ヵ月が経っても、花が開く気配はありません。半年が過ぎた頃、近所の庭先には、石楠花の花が咲きました、しかし、Kさんの庭の石楠花は、いっこうに花開く様子が見えません。
水やりを続け、7ヵ月が経過し半ば諦めかけていた時、やっと蕾が紅くなり膨【ふく】らみ始めました。そして数日後、一気に真紅の花を咲かせたのです。
長い間待っただけに、Kさんの喜びはひとしおでした。
その時の感動を短歌にしました。
雨ざらし 日ざらし酷寒耐え抜きて いま咲きそめし 石楠花の花
「物事が開花し、実るには、風雪に耐え、長い時間がかかるものだ。何事も一朝一石にはいかないものだ」と、Kさんは改めて感じました。
Kさんは、結果に捉われず、日々続けることの大切さを忘れずにいようと決めました。
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