天国の門
立派なヒゲをたくわえたある石油探鉱者が天国に召された。
ところが神様の対応は冷ややかだった。
それもそのはず、このところ、天国に来るのは石油業者ばかりだったのだ。
「あいにくだが、石油業者が多すぎて、天国中にあふれかえっている。お前さんが入れる場所はない」
「そんな殺生な!」
「スペースがないんだからダメだダメだ」
せっかく天国の門までたどり着いたのに・・・・。
しばし考えたヒゲ男は、一計を案じました。
「神様、一言だけ、天国にいる石油業者の連中に言わせてほしいのですが・・・一生のお願いです」
「----------よかろう」
神様のお許しを得た男は、ありったけの声を腹の底からふり絞って叫んだ。
「地獄で石油が出たぞーーーーっ!」
のどかに談笑を楽しんでいた天国の住人たちがピタリと話すのを止めた。
わずかに開いた地獄への門を見つけた一団がまっしぐらに下へ下へと降りていく。
天国に先に入っていた石油業者たちは気が気でない。われ先にと下に駆け降りていった。
それを見ていた神様は、ニヤリと笑って男に声をかけた。
「−−−−−空きが出たようだから入りたまえ」
ところが、ヒゲ面の男は拒否した。
「神様、もういいです。わたしも下に降りようと思うんです。だって、あの噂が本当になるかもしれませんからね。」